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酒好き医師が教える 最高の飲み方 8-4

どうも‼カニコロです(^▽^)

 

 書籍

酒好き医師が教える 最高の飲み方

第3章 飲んで病気にならないためのルール

こちらをまとめていきます。

「酒は百薬の長」はあくまで条件付き

 「酒は百薬の長」

そんな言葉が昔からあるように、酒は適量摂取なら健康効果があると考えられてきました。

まさに、酒飲みにとっては印籠のような言葉になっています。

 

「この適量の飲酒は長生きにつながる」ことを裏付けるデータがあります。

専門用語でJカーブ効果と呼ぶものです。

飲酒量を横軸、死亡率を縦軸にとると、グラフの形状が「J」の字に似ることからそう呼ばれています。

 

しかし、冷静になって考えると実際はどうなのだろうか?

それを専門の方に伺いました。

 

結論として、飲酒と総死亡率についてはJカーブ効果が認めれらています。

ただし、すべての疾患に対して当てはまるわけではありません。

つまり、病気によっては、少量の飲酒でも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

少量の飲酒であっても、リスクが上がるのは主に高血圧、脂質異常症脳出血乳がん(40歳以上)などです。

これらの疾患は、飲酒量に比例してリスクは直線的にあがっていきます。

つまり、少量でも飲酒すればリスクは上がります。

乳がんは遺伝的な要素が強いですが、それでもアルコールを飲まないより、飲むほうが

罹患リスクは上がります。

肝硬変の場合は、指数関数的な傾向を示します。

飲酒量が増えるとリスクが上がるのは同じですが、少量の場合のリスクの上がり方は穏やかで、ある水準を超えると一気にリスクが高くなります。

 

では、これらの内容を受け、飲酒をどうしていけばいいのでしょうか?

 

高血圧、脂質異常の持病を持った方、肝機能の数値が思わしくない方、乳がんに罹患した人が身内にいる方などは、少量飲酒でもリスクが高まるわけですから、通常の方より飲酒量を抑えるように注意したほうがいいのは確かです。

 

また、高齢者はアルコールを分解するスピードが遅く、体内の水分量も少ないため、血中アルコール濃度が高くなりやすいです。

持病を抱えている人も多いからです。

また、飲酒時の転倒のリスクも高まります。

これが原因で骨折なんてケースも少なくありません。

 

とはいえ、飲酒はコミュニケーションツールであり、日常のストレスから解放してくれる楽しみの一つでもあります。

例えば、高血圧の方が飲酒量を抑えたほうがいいのは確かですが、過度に神経質になる必要はありません。

 

習慣化しているお酒を、いきなり断つことは、ストレス以外の何ものでもないです。

「飲酒をやめなさい」という上から目線は逆効果です。

ではどうしたらいいか?

それは、無理のない範囲で量を減らすこと。

その量も本人が決めることが大切です。

 

顔が赤くなる人、ならない人は何が違う

世の中には、酒を飲んで赤くなる人と、赤くならない人の2通りのタイプがあります。

顔が赤くなる人とならない人の差は何なのでしょうか?

 

お酒を飲んで顔が赤くなり、さらには血圧が上がったり、冷や汗をかく、動悸がするなど、複合的な症状をフラッシャーと呼びます。

顔が赤くなるのは、体内でアルコールが代謝される際に発生するアセトアルデヒドの毒性が大きな原因です。

 

アセトアルデヒドの作用で、顔などの毛細血管が拡張されることで赤くなります。

さらに、アセトアルデヒド交感神経の刺激作用がとても強力です。

これにより、脈拍が上がり、その結果として血圧が上がり、冷や汗が出る、筋肉が緊張するなどの症状が引き起こされるのです。

これがフラッシャーの原因です。

 

さらに、アルコールが持つ血流を促す作用も手伝って、顔の赤さが助長されるというわけです。

ちなみにフラッシャー状態が慢性化し、鼻や頬の一部が飲んでいないときでも赤くなる症状を「酒さ」と呼びます。

いわゆる「酒焼け」と言われる状態です。

 

ですが、酒を飲めば、誰もがアセトアルデヒドが発生するのに、なぜ赤くならない人もいるのでしょうか?

その差というのは、アセトアルデヒドを分解するアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)が大きく影響しています。

 

体内に入ったアルコールの約9割は肝臓で代謝されます。

その際、アルコール脱水酵素によって、アルコール(エタノール)はアセトアルデヒドに分解され、ALDHにより、アセトアルデヒドは無毒な酢酸となり、肝臓から排出されます。

 

この、ALDHは1・2・3の3つの型があり、ALDH1と3は個人差が少ないが、ALDH2は個人差が非常に大きく、その差が酒に強いか弱いかを決めるカギを握っています。

 

ALDH2の活性は、その人の遺伝的要素によって決まり、生まれつきの強弱で3タイプに分類することができます。

 

1.活性型(NN型)

酒を飲んでも赤くならない飲んフラッシャーがほとんど。

2.不活性型(ND型)

普段からアルコールに親しんでいない場合、顔も赤くなりやすい。

3.失活型(DD型)

顔が赤くなりやすいフラッシャーがほとんど

 

ちなみに、日本人などの黄色人種の場合、活性型は50%程度、不活性型が40%程度で、失活型が10%程度となっています。

ちなみに、白人や黒人はほぼ100%活性型です。

 

ちなみに、顔が赤くなることとALDH2の関係性がわかりやすい例として、アルコール依存症の治療に用いる抗酒剤という薬。

こちらを投与すると、ALDH2の活性がブロックされます。

つまり、強制的に失活型にするということです。

 

ですが、毛細血管の反応には個人差があり、失活型だけど顔が赤くならない方もいますので、ご注意ください。

 

この3つのタイプの中で、一番注意すべきは不活性型です。

もともとALDH2の活性が低く、アルコールには弱いのに、アルコールを飲んで、代謝を繰り返すうちに、ALDH2の活性が徐々に高くなるのです。

つまり、飲み続けることでアルコール耐性がアップしている状態にあります。

 

これだけを聞くと「酒に強くなるのならよいのでは?」と考えてしまうのですが、そんな単純ではない。

 

もともと、アルコール耐性が弱いため、活性型に比べると酒も残りやすく、アセトアルデヒドの毒性に長くさらされるというリスクがあります。

それによって、咽頭がん食道がん罹患率が高くなる傾向がみられます。

 

なので、遺伝子検査を受け、自分のタイプを知るのが一番です。

遺伝子検査が厳しい場合は「アルコールパッチテスト」という手もあります。

お酒との付き合い方を決めるうえで自分がどのタイプかを把握するのは、とても重要なのです。

 

ウコンで肝障害に!脂肪肝の人は要注意

飲み会の前はウコン入りのサプリやドリンク剤を飲む!

多くの酒飲みにとっては「常識」いわば「飲む前の儀式」の一つと言ってもいいでしょう。

ウコン入りドリンク剤を飲んでから酒を飲むと、酔いの回り方が違うと感じるし、翌朝はいつもよりスッキリしているように感じます。

ですが、肝機能に問題がある人は控えたほうが良い、脂肪肝の人などは悪影響が出る可能性があるという話があります。

日本人の成人の3人に1人は脂肪肝といわれているのですから、決して他人事ではない!

なので、専門家の方に話を聞きました。

 

肝機能に異常がある人にウコンを勧めない理由は大きく2つの理由があります。

・ウコンによる肝障害が報告されているから

・ウコンに含まれる「鉄」

こちらです。

 

まず1つめの、肝障害が報告されているということ。

日本肝臓学会が10年ほど前に、民間薬や健康食品など、病院でもらった薬ではないものによる薬物性肝障害の調査を実施しました。

この調査の結果で、多種多様な原因があったのですが、原因の中で一番多かったのがウコンだったのです。

 

ウコンによる薬物性肝障害は全体の24.8%と断トツで高い結果となりました。

これを受けて、肝臓専門医の間で、ウコンに気をつけたほうがいいという認識が定着したのです。

 

なお、この日本肝臓学会の調査によると、薬物性肝障害を発症した人の中で、民間薬や健康食品を定期的に使用していた人は91%で、そのほとんどが毎日使用していたといいます。

また、発症するまでの使用期間は平均で約160日となりましたが、30日以内というケースも23.6%もありました。

 

次に、ウコンに含まれる「鉄」についてですが、ウコンのサプリには比較的多量の鉄を含むものがあります。

しかし、鉄の含有量が記載されていないものがあります。

鉄は、1部の肝臓の悪い方に悪影響を及ぼすことがわかっています。

その代表が、C型肝炎脂肪肝です。

 

貧血予防に効果があることで知られる鉄ですが、摂取過多で肝臓に蓄積すると、フリーラジカル(活性酸素)を発生させ、肝細胞を傷つけ、炎症を悪化させます。

線維化が進んで肝臓が固くなるなどして、肝硬変や肝がんになる可能性も高まります。

 

脂肪肝の方の血液を調べると、ほとんどの人が鉄が過剰。

このため、脂肪肝の人はウコンは制限したほうがいい。同じく鉄を含むシジミなども同様です。

 

鉄分は多く摂取したほうが良いと思っている方が多いと思いますが、それは女性の話です。

月経のある女性は、鉄分を補給する必要がありますが、男性は鉄不足になることはまずありません。

なかでも、日常的にアルコールを常飲する習慣のある方や脂肪肝の方は、鉄過剰の傾向があるので注意が必要です。

 

結局、ウコンは飲まないほうがいいってことなのか?

 

肝機能障害がない健康な人が、コンビニで買えるドリンク剤をたまに飲む程度であれば、過度に心配する必要はありません。

実際、飲酒30分前にウコンに含まれるクルクミンという成分を飲んだ人は、アセトアルデヒド血中濃度の上昇が抑えられたという報告もあります。

『効く』という実感を持つ人が多くいることは確かです!

 

ウコンによる薬物性肝障害の報告例が多いのは、ウコンがことさら危ないからではなく、ウコンを飲んでいる人が多いからだと推測されます。

ウコンを煮出したり、ウコンを精製した粉を飲むなど、濃度が高いものを長期間、大量に飲むのは注意が必要です。

健康食品などは、1回飲んだだけで問題が起こるというケースは少なく、継続的に飲み続けて肝臓を壊すケースがほとんどです。

そして、肝臓に問題がある人、例えば、脂肪肝の人などは避けてください。

 

今は、ネットで一部ながら医薬品が購入でき、サプリメントはコンビニで買える時代。

それゆえ自己判断で『効く』と思ったものに安易に手を出してしまいがちだが、そこには常に危険が伴うことを忘れてはなりません!

今一度、ウコンとの付き合い方も考えてみましょう。

 

以上が第3章のまとめとなります。

項目ごとに分けていますが、全部の項目を記載しているわけではないので、他の項目も読みたい方は、ぜひ、ご購入ください<(_ _)>

 

次回は

第4章 検証!酒にまつわる「なぜ?ホント?」

です。

 

では、また(@^^)/~~~

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