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酒好き医師が教える 最高の飲み方 8-5

どうも‼カニコロです(^▽^)

 

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酒好き医師が教える 最高の飲み方

第4章 検証!酒にまつわる「なぜ?ホント?」

こちらをまとめていきます。

水はすぐお腹いっぱいになるのに、ビールはなぜたくさん飲める?

最高気温が35℃を超すような真夏になると、拭ってもなかなか汗が引かなくても、キンキンに冷やしたビールを飲めば、体の中がスーッと冷えてくる気がします。

夏はやっぱりビールがおいしい!

気づけば短時間で大ジョッキ3杯なんてこともザラです。

 

そんなとき、ふと思うのが

「どうしてビールはたくさん飲めるのに、水はたくさん飲めないのだろう」

ということだ。

 

その疑問に対する答えとして、アルコールは胃で吸収されるから、たくさん飲めるとも書いてあったが、本当でしょうか?

胃や腸などのメカニズムに詳しい先生に伺いました。

 

ビールだと大ジョッキで3~4杯程度飲まれる方がいらっしゃいますが、一方で、水の飲める量については『飲水試験』で検証されていて、人間が一気に飲める水の量はせいぜい1~1.5ℓ程度という結果が出ています。

もちろん個人差はありますが、ビールのほうが多く飲める人がいるというのは確かです。

 

では、なぜビールだと多く飲めるのでしょうか?

 

まず、胃で吸収されるという説ですが、胃で吸収されるアルコールは5~10%程度で、残りは小腸で吸収されます。

ですから、その影響はわずかといえるでしょう。

そもそもビールの大半は水分で、水分は胃で吸収されません!

なので、この説は主たる要因にはならないのです。

 

明確な定説はまだありませんが、影響している可能性があると考えられているのが、胃から分泌される『ガストリン』というホルモンの存在です。

 

胃の幽門 (胃の出口)前庭部に存在するG細胞という細胞から、ガストリンというホルモンが分泌されます。

ガストリンの主な働きは、胃の運動促進、胃酸分泌促進、ペプシノゲン分泌促進、胃壁細胞増殖作用、インスリン分泌促進作用などです。

さらに、ガストリンには、胃の入口近くの部分の運動を抑制し、出口近くの運動を促進させる働きがあると報告があります。

 

ドイツ・エッセン大学などの研究によって、ビールにはガストリンの分泌を促進させる効果があることが明らかになっています。

ビールを飲むことで、胃の排出効果が高まり、結果としてたくさん飲めるという可能性が考えられます。

この研究によると、酵母の働きによって糖をアルコール分解して醸造する、ビールやワインなどの醸造酒にみられる効果で、醸造酒の中でもビールの効果が高いようです。

 

ただ、現状ではまだ詳細は解明されていないので、今後の研究に期待したいところです。

 

ビールならたくさん飲めるからといって、飲みすぎれば間違いなく二日酔いになります。

水を飲むことを忘れないようにしてください(⌒∇⌒)

 

「飛行機での飲酒は危険」はホント?

「飛行機で酒を飲むと、いつもより酔っ払う」

多くの人が感じているであろう「飛行機泥酔説」

地上よりも飛行機で飲むほうが酔いが早いだろう?

単に旅行気分が酔いを助長させているような気もするのですが…

ただ、飛行機での飲酒について調べてみると、いわゆるエコノミークラス症候群との関係性が指摘されていることがわかりました。

 

単に酔いやすいだけならまだしも、生死にかかわるとなると、これはただ事ではありません!

 

「飛行機に乗ると旅の解放感もあってか、お酒を飲みたくなる方も多いと思いますが、飲まないことをお勧めします!」

と、医師が注意勧告するほど、飛行機での飲酒は危険なのです。

 

その理由は

飛行機は離陸した後、高度1万メートル付近を飛行しています。

飛行中、飛行機は空気を外から取り入れ、与圧装置で気圧を調節しています。

飛行中の機内の気圧は0.8気圧前後、最大で0.74気圧まで下がります。

これは、富士山の5合目あたりに匹敵します(2,000m~2,500m付近)

 

気圧の低下に伴い、酸素の分圧も減少します。

具体的には、機内の酸素分圧も地上の80%程度まで低下します。

わかりやすくいうと、1回の呼吸で体内に入ってくる酸素の量が、機内では地上に比べ、2割減るということです。

この低酸素こそが『いつもより酔いが早い』と思う要因の一つなのです。

※ただ、あくまでも俗説で、医学的なエビデンスはないとのこと。

 

 では、低酸素状態に身を置くことで、体の中ではどんなことが起こっているのでしょうか?

 

脳は、低酸素になるとパフォーマンスが落ち、判断力が鈍くなるなど、酔いにも似た症状が現れることがあります。

単に、アルコールが聞きやすいだけなら大きな問題にならないように思われるかもしれませんが、心臓疾患や糖尿病をはじめとする、血管に関わる持病を抱えている方は、症状が悪化する可能性があるので、より一層の注意が必要です。

また、アルコールを飲んで寝てしまうと低酸素を助長することになるので、こちらも危険です。

 

なので、海外旅行のように、長いフライトの場合は「お酒を飲んでさっさと寝て、体を休める」ことが基本だと思っていた方は、休めるどころか体を危険にさらしていたのです!

 

低酸素に加え、機内の乾燥による水分不足にも注意する必要があります。

アルコールの利尿作用により水分不足が助長され、いわゆるエコノミークラス症候群などの健康問題を引き起こす可能性が高まります。

 

乾燥している状態で、利尿作用があるアルコールを飲むと、血液中の水分が不足し、血液はドロドロの状態になり、血栓のリスクが高まるのです。

それでなくとも、機内は同じ姿勢で長時間座っていることで、血栓ができやすいといわれています。

 

これが『機内でのアルコール摂取が、エコノミークラス症候群を引き起こす可能性がある』といわれる理由です。

エコノミークラス症候群を避けるためにも、アルコールは控えたほうがよいです。

特に、心臓病などの血管系の病気や生活習慣病をお持ちの方は注意が必要です。

また、女性の場合、血栓リスクがあるピルを服用している方は注意が必要です。

 

ちなみに

「機内で飲むのがだめなら、乗る前に飲んじゃえ!」

は、ありなのかというと

「気圧や湿度の環境が変わる前に、お酒を飲んで酔っ払うのはもってのほか」

とのことです。

 

ただ、どうしてもお酒を飲みたい方は、日ごろの半分程度にしておくことが賢明です。

また、食事の水分量も含め、1時間に100ml程度の水分を摂取するように心がけましょう。

 

一番大切なのは『地上とは環境がちがう』ということを意識することです!

大枚をはたいていく旅行をつまらないものにしないためにも、機内での飲酒はくれぐれも控えめにしてほしいです<(_ _)>

 

酔うと同じを繰り返したり、吐きたくなるのはなぜ?

酔っぱらいの行動はときに滑稽で突飛です。

杯を重ねるにつれ、飽きれるほど同じ話を繰り返したり、電車で帰ればいいものをわざわざ歩いて帰ってみたり、悪酔いして嘔吐したり…

こうした特有の行動の裏側に、じつは脳とアルコールの不思議な関係があります。

 

アルコールによる影響が出やすいのは、前頭葉、小脳、海馬の3つです。

前頭葉は人間の思考や理性の制御、小脳は運動機能の調節、海馬は記憶の保存を司どっています。

しらふでは到底考えもつかない、酔っぱらいならではの奇行は、これらの部位の機能低下によって引き起こされるのです。

 

まず、前頭葉

『理性のガードマン』ともいえる前頭葉によって、理性的な行動が保たれています。

しかし、アルコールが入ると、ガードマン的な役割が徐々に解き放たれ、結果的にコントロール機能が低下します。

例えば、悪口や秘密、自慢話を言いたがる人がいますよね?

普段なら言わないことをしゃべり始めるのは、前頭葉が麻痺し始めた典型的な状態なのです。

 

行動は人によってさまざまだが、やたら大きな声でしゃべる、下ネタを話す、遠い距離でも歩いて帰ろうとするなども、前頭葉が麻痺することが原因です。

 

アルコールによって解放された前頭葉は、どこまでも人をおしゃべりにします。

しかし、悪口や自慢話を言っているうちはまだ軽度。

さらに酔いが進むと、ますます挙動にも影響を及ぼしてきます。

これに関与しているのが、小脳です。

 

小脳の機能が低下してくると、運動のスムーズさや正確さが保てなくなります。

そのため、千鳥足になる、ろれつが回らなくなる、スマホ操作などの指先を使った細かい動作ができなくなるといった、一見して誰もが、酔っぱらいと認識できる状態になります。

 

また、多くの酒のみが経験しているのが「記憶の忘却」

同じ話を何度も繰り返す。

「2軒目のお会計をしていただろうか?」と翌朝不安になり、一緒に飲んでいた人に聞いてみると、お金払ってましたよ!と言われたが、当の本人は全く記憶にない。

そんな経験あるのではないでしょうか?

 

その謎を解くカギは、海馬が握っていました。

海馬には、短期記憶を残し、それを長期記憶にかえるという2つの役割があります。

 

短期記憶とは、新たなことを一時的に記憶するだけで、覚えていられる時間はごくわずか。

例えていうなら、PCにキーボードでデータ入力して、それを保存せずに電源を切ってしまうようなものです。

酔っぱらいが何度も同じ話をしたり、きちんと清算を済ませたか覚えていなかったりするのは『一度話をした』という記憶を保存していないからなのです。

 

だが、どんな話をしたか覚えていなくても、自宅に帰ることができます。

これは、長期記憶のおかげなのです。

 

長期記憶は『思い出記憶』『エピソード記憶ともいわれ、脳に長くとどまる記憶です。

帰宅するまでの道のりは、毎日同じ道を繰り返し通ることで、長期記憶として固定化されます。

日々、記憶の格納庫から取り出しているので、酔っ払っていても容易に記憶を取り出すことができます。

ほとんど意識がない状態でも、家に帰ることができるのはそのためです。

 

このような行動に心当たりのある方は、今一度、酒との付き合い方を見直したほうがいいかもしれない。

 

また、最も避けたい行動の一つとして『嘔吐』です。

お酒を飲まない人でも経験している方の多い『嘔吐』はそもそもなぜ起こるのでしょうか?

 

そもそも嘔吐という整理行動は、人間に備わる整理秩序のなかで、生命を維持するための最も重要な仕組みの一つなのです。

確かに、体に良くないものを食べたら吐き出すというのは、生命を守るための偉大な防御反応でしょう。

 

嘔吐の原因は

①腹部内蔵刺激

②血液を介するもの

③前庭感覚刺激

④臭覚、味覚、視覚性入力によるもの

⑤精神性入力によるもの

⑥中枢神経の刺激によるもの

この6つに分類されます。

このうち、酒が原因による嘔吐は②に該当します。

 

酒を大量に飲み、血中のアセトアルデヒドの濃度が閾値を超えると、延髄の最後に存在する化学感受引き金帯という場所に信号が入ります。

続いて、口腔咽頭反射や味覚、腹部臓器感覚に関与そる孤束核を通じ、嘔吐中枢へ信号が送られることで嘔吐が起こると考えられています。

 

酒を飲みすぎて嘔吐するのは

「体が緊急事態に瀕している!」

というシグナルなので、自然な生体反応に従って、吐けばいいのです。

 

人によっては「醜態をさらしたくない!」と我慢したりすることもあるかもしれないが、これは体にとっては良くないとのことです。

一方で「早く楽になりたい」という理由で、指を口の中に入れて、無理に戻した経験がある方もいるかもしれません。

ですが、この行為は、食道を痛めてしまう原因になりかねないので、極力避けましょう。

 

また、同じ嘔吐でも、さらに大きな負担がかかるものがあります。

それが、酔った後の入浴中に起こす嘔吐です。

 

深く酔ったときに入浴すると、血流が急激に高まるために、突然、嘔吐することがあります。

あくまでも私見ですが、アルコールによって脳機能が麻痺することで、唾液を多く分泌するなど自律神経反射が起こりにくくなり、それによって前兆もなく、いきなり嘔吐してしまうのではないかと思われます。

前兆のない嘔吐は、食道破裂を起こしやすく、ひどい場合には出血を伴う可能性があります。

 

嘔吐を避ける事前対策としては、やはり、悪酔いを防ぐことにも通じています。

例えば、胃でのアルコール吸収速度を遅らせるため、飲む前にチーズなどのたんぱく質類を入れておくことが挙げられる。

 

万が一、胃の中に吐くものがなく、嘔吐を何回も繰り返すが、胃液だけしか出てこないような場合には、体が発する危険シグナルの可能性もあります。

急性アルコール中毒の懸念もあるため、速やかに救急にかかることをお勧めします。

ドクターにお世話になるのは『最後の砦』

酒の魔力に溺れない飲み方を模索しましょう(^▽^)

 

以上が第4章のまとめとなります。

項目ごとに分けていますが、似たような項目などは、カットしています。

全部の項目を記載しているわけではないので、他の項目も読みたい方は、ぜひ、ご購入ください<(_ _)>

 

次回は

第5章 最新科学でわかった「酒と病気」

です。

 

では、また(@^^)/~~~

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           【表紙】 本体価格1,400円