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OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める 5-5

どうも‼カニコロです(^▽^) 

 

いよいよ最後になります。

OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める

 

第4章 オープネスをどう使うか

こちらをまとめていきます。

 

オープネスは、組織の危機を察知するために利用することができます!

組織が変化するとき、一番最初に起きるのは

「オープネスの変化」なのです‼

 

構造を説明すると、まず、事業が悪化すれば組織も悪化するが、最初にオープネスが反応します。

これをリーダーが放置しておくと、組織のほかの項目もどんどん悪化していき、やがて事業にも悪影響を与えてしまう。

そして、事業が悪化すると、組織の状態はさらに悪化し、負のスパイラルをたどって事業と組織は崩壊してしまう。

という構造です。

なぜ、こうなるのか?

この章では、この構造と対策を解き明かしていきます‼

 

そのために、まずは、基本的な概念を整理しておきます。

事業と組織には重力が存在しています。

重力というのは、事業と組織の状態は、何もしなければ100%下に落ちていきます。

理由は

競合の出現とシェアの上限

があります。

 

スタートアップの事業は、対前年比で200%~300%成長ということがありえます。

ただ、それはあきらかに「市場自体がとてつもなく成長している」からであり、そして「シェアに大きな空きがある」からです。

その成長が何年も続けば、必ずシェアもどこかで頭打ちになり、競合も現れ、シェアを奪い合う戦いになります。

だから「落ちる」のです。

 

加えて、組織が重力の影響を受けるのは

①人数が多くなればなるほど、組織的課題(社内政治や管理プロセスの冗長化)が必ず起きること

②事業が成熟し始めると組織の中に「飽き」が発生してくること

この2つです。

簡単に言うと

「大きくなればなるほど、組織の問題は絶対に起きる‼」

ということでしょうか。

つまり

①事業と組織は、お互いに影響しあっている

②事業も組織も、何もせず、放っておくと悪化していく(=重力がある)

ということが言いたいのです。

 

このとき、最初に悪化しやすいのは、「オープネス」なのです‼

事業が悪くなり、利益が出なくなった組織というのは、往々にしてリーダーや経営者が情報を隠すようになります。

具体的には、必要以上に経営者が「いいこと」しか言わなくなったり、悪い情報はさらっと表面的にしか触れなくなったりします。 

なぜ、オープネスが最初に変化するのかというと「リーダーの心の弱さ」

に強く起因しているためです。

 

イメージしてみて下さい。

 

あなたが今、100人の部下をもつリーダーだとします。

担当している事業の業績が悪くなってきています。

あるいは、部下が不正を働いたとします。

 

この事実を、ありのまま、組織やチーム全体に言うべきか、言わないべきか?

実際、直面した場合、とても難しい問題だと思います。

本来なら、きちんと事実は伝えたほうが良い。

しかし、我々の心は弱いので、あるアイデアを思いつきます。

「あえて言わない」

これです‼

 

「今、会社の状態が悪いから、これ以上ネガティブな情報を共有すると士気にかかわる」「嘘をついているわけではなく、いわないほうがみんなのためになる」「仕方がないことだ」といった、悪意がなく誰かを傷つけないようにと思ってつく「白い嘘」いう選択肢が生まれます。

ちなみに対比言葉の黒い嘘は、明確に誰かを傷つけるためにつく嘘です。

よって悪意があります。

なので、白い嘘のほうが人はつきやすい。

ですが、トップやリーダーが「白い嘘」を一度つき始めると、組織の常習となり、強烈な「ことなかれ主義」を生み始めます!

誰も本当の厳しい事実は言わずに、なぁなぁで物事が進み始め、本当のことを言う人は煙たがられます。

そして、その空白を埋めるかのように、ポジティブな情報を過度に宣伝する人(オーバーサクセスシェアの問題)が出始め、矛盾を理解した中間層から「戦略わかったふり○○」が生まれる様になり、社内に圧倒的批評家が生まれ始め、組織のオープネス(情報開放性や自己開示性)は著しく下がります。

 

では、そうならないようにするにはどうしたらよいか?

負のスパイラルを防ぐためにできることは、構造的に考えると3つです。

わかりやすく、病気とのアナロジー(類比)で考えると、優先順位の高い順で

1.予防…できることなら、事業も組織も悪くなる前に何とか防ぎたい

2.早期治療…事業が悪化したとき、できるだけ早く手を打っておきたい

3.手術…もうどうしようもなくなったら大幅な手術しかない

この3つです。

 

では、それぞれのケースで、どんな戦略をうつべきなのでしょうか?

より詳しく見ていきます。

1.予防

まず1つ目。

組織には3つのレベルがあります。

①負けがちな組織(弱い組織)

②勝ったり負けたりする組織(普通の組織)

③勝ち続けられる組織(強い組織)

これらの違いは何かというと、組織のなかでの「当たり前」のレベルが違うことです。

どういうことかというと

①の組織…「自分たちの実力」と「外部環境」を分けて考えない

②の組織…「自分たちの実力」と「外部環境」を分けられる

③の組織…「自分たちの実力」と「外部環境」を分けたうえで「機会損失」を考えられる

 これです‼

具体的に例を挙げて説明すると

【例】

市場自体が130%成長を遂げている事業ドメインで、「製品A」を販売。

営業努力もあり、通年で140%成長を達成したとします。

①の組織は「自分たちの努力によってプラス40%成長した。やったぞ!」と、つかの間の勝利にどっぷりつかります。

②の組織は「市場成長で30%伸びて、自社努力によりプラス10%伸びた。波に乗れたぞ!」と、要因を分解できます。

③の組織は「市場成長で30%伸びて、自社努力で10%伸びたが、本当はもっと成長余地があって、さらにプラス5%伸ばすことができた」と、「機会損失」にフォーカスを当てられます。つまり、成果を分解したうえで、もっとうまくできたのではないかと考えられます。

 

ただ、組織戦略において「機会損失」は、極めて属人的で目に見えにくいです。

なぜかというと、例えば、事業部Aで活躍しているエースの人材がいたとします。

その人材は、他の部員よりも圧倒的に高い成果を出しています。

でも、じつは他の事業部に行ったほうがさらに活躍できるかもしれない。

このように、組織戦略における「機会損失」は、可能性で見るので、目に見えにくいのです。

そして、組織戦略において「機会損失」を最小化させるかさせないかは「哲学的な思想」があるかないかによって決まります。

具体的には、もっと高いところを探し、見つけようとする人でない限り、その機会を見つけることができないので、多くの人は「取りに行こうとさえしない」ということです。

つまり、予防の1つめは

「機会損失」が見えているかどうか

になります。

 

2つめは「ロードウェイ改善戦略」です。

ロードウェイとは、働き方やガバナンス、ナレッジ(知識や知見)の共有、社風などを指します。

つまり、「ロードウェイ改善戦略」とは、事業の成長にやや陰りが見え始めたときに、ワークライフバランスやガバナンスの改善、コストカットなどの調整を行うことです。

ロードウェイには

①働き方に関するもの

②コストに関するもの

こちらの2つの意味があります。

 

事業の成長が鈍化し始めると、往々にして社内政治の目が生まれ始め、本来のミッションを忘れ、出世や社内政治に関心を持つ人が出てきます。

しかし、経営者やビジネスリーダーは普通の人に比べて、異常なまでに「仕事が好き」で、右腕一本で何とか出来てしまう力があるため、組織的な弱さに鈍感になってしまう傾向があります。

その結果、会社がいつの間にか「組織の風邪」にかかってしまていることに気づきにくいのです。

 

ロードウェイの問題が発生した状態で事業を成長させると、当然、必ずどこかで爆発が起きます。

なので、実態を正しく把握し、どこに組織のほころびが出かけているかをしっかりと認識する必要があります。

 

2.早期治療

組織のオープネスが悪化し始めたら、経営者やリーダーがやるべきこと

①白い嘘をつかないこと

②これからの未来となる道筋を描くこと

この2つです。

 

リーダーが心の弱さに負けて、失敗や悪い情報を出したくないと思うのは、往々にして、リーダー自身も、その先の未来が見え切っていないからです。

リーダーですら、先行きが見えない状態ならば、現場のメンバーからすると、さらに先行きが見えないのは、言うまでもないですよね(;^_^A

つまり、白い嘘をつかないためには、リーダー自身が、その先の未来をしっかりと理解していないといけないのです。

 

オープネスが下がり始める状態というのは、出口の見えないトンネルの中を進むようなものです。

失敗や悪いこともきちんと開示したうえで、明確なこの先の「事業の新しい展開」を示すこと。

これが重要です。

 

ただ、「事業の新しい展開」を示すだけで終わりではありません‼

これを、現場のメンバーにしっかりと理解してもらわないと意味がありません。

現場のメンバーに理解してもらうには、結論だけではなく、プロセスが明示されている結論、つまり「文脈を通じた理解」が大事になります。

 

例えば、新規事業でAというアイデアを採択した際に、重要なのは「Aというアイデアは何で、どう戦っていくのか」という結論ではなく「なぜAというアイデアを採択するに至ったか」という思考のプロセスを追体験させることで「その結果、現場メンバーのキャリアにどんな影響があるのか」という寄り添う視点です。

現場のほとんどの人にとって重要なのは、事業そのものではなく「事業に対する未来の中を生きる自分のメリット」なのです。

なので、リーダーや経営者は、現場のメンバーに、事業の新しい展開を「文脈を通じて理解」してもらい「体験的」に示すことが、オープネスを回復させる方法になります。

 

3.手術

事業が悪くなり、事業のモメンタム(勢い)が下を向いている限り、どこかでその組織は崩壊していく。

そんなとき、経営者やリーダーには何が必要か。

①アロケート戦略

事業は悪いが雰囲気はいい状態。事業部長、チームリーダーの関係は良好だが、いずれ悪化していくため、組織単位で事業部を異動させ、事業への貢献度をたかめる戦略

②撤退生存戦略

負のスパイラルに入っていく状態。事業も組織も崩壊に向けて進んでいるため、事業撤退と退職マネジメントを行い「存続させる事業と組織」にフォーカスする戦略

この2つの方向性があります。

 

組織やチームを変革するポイントは3つ

・誰をトップに置くのか

・士気が高い人の割合

・役割の再定義

これを順番に説明していきます。

 

・誰をトップに置くのか

トップを決める際に重要なのが、事業が成長しているときに活躍する人物と、衰退しているときに、そのスピードを遅くする力のある人物は異なることが多い点です。

衰退事業ではトップラインをあげる社員よりも、コストを下げ、効率的に組織を運営できる社員のほうが重要になります。

 

・士気が高い人の割合

例えば1,000人の部門があったとします。

それぞれの「変革」に対する割合は、2:6:2(働きアリの法則)を考慮すると

A:10人「変革したい」

B:190人「できれば変わってほしい」

C:600人「様子見。冷静に会社を見ている」

D:200人「自分のポジションを守る行動をとる」

このうち、士気が高い人の割合が4~5割になる単位でグループをつくります。

 

・役割の再定義

「あなたには○○という重要な役割があるから、ぜひこの仕事をお願いしたい」

とメンバーに伝えることです。

人は自分の役割に応じて行動を変えます。

 

ただ、アロケート戦略や撤退生存戦略は一番難しい。

なぜなら、事業が衰退フェーズに入ったとしても、その事業がいまだに売上を大きく占めている場合が、往々にしてあり得るからです。

この状態で、士気の高いチームを先んじて異動させることは、衰退のスピードを速める可能性があります。

エース社員を含めたチームを改変すれば、現場の反発も大きくなります。

ですが、そもそも経営者のやるべきことの仕事の1つは、二律背反する選択の意思決定を下すことなのは、いうまでもありません。

重要たけど先延ばししたくなる問題は、トップダウンで意思決定するしかないのです‼

 

これが、具体的な戦略になります。

 

「組織には、成長曲線があります」

会社経営、特にスタートアップで創業期~拡大期を経験すると、この真実に気付くタイミングがあります。

重要なのが「社長や経営者も、また成長していく」という事実です。

あえて言い切るなら、良い組織であればあるほど

「社長や経営者こそ、一番成長し続けている」

言い換えれば

生まれた時から完璧な経営者や起業家などいない

ということです。

 

経営や戦略というのは、ある程度、再現性の世界であるため「人間の器」という本質的な部分以外は、後天的なもので、経験によって成長することができます。

同様に、組織にも成長曲線があり、失敗と成功を繰り返しながら進化していくということです。

 

一昔前まで、人々が言う「あの会社はいい会社だよね」という言葉の意味は、極めて画一的なものでした。

それは「みんなが知っている」企業を指すことが多かったですが、その現状は変わりつつあります。

その背景には

1.組織のオープン化

職場環境のデータが生まれたことで、組織戦略の良し悪しが市場原理とつながった。

また、現代の就活生、転職者の5割弱が従業員の口コミを見て就職活動を行うことに加え、外資系企業や海外で働くことが、昔よりも身近になった。

2.就労観の変化

ミレニアル世代以降の人達は「意味を重視する世代」と呼ばれ、仕事の「やりがい」に重きを置くようになった。

この2つの変化ががあります。

 

今まで、行きたい会社の真の実態は、入社して何十年もたたないと見えませんでした。

ですが、時代は変わり、職場環境のデータが世の中にオープンになってきました。

(著者はこれを「オープネス革命」と呼んでいます!)

これによって、これまで働いてきた人の、生の声を集約してデータ化し、他の人にバトンタッチできるようになりました。

 

こういうことが、伝わるようになってきたことは、本来であればポジティブな変化なのですが、まだ、これが経営戦略には結びついていません。

 

現代の採用活動は、情報がオープンになりつつあります。

その結果、企業は化粧した状態で戦うことは難しくなってきています。

つまり、「嘘をついてもバレる」ということです。

嘘がバレるということは、本来、経営者にとっては極めてポジティブな話で、組織規模に関係なく、優れた組織戦略を持っている企業が「優秀な人材を確保すること」が、知恵次第ではできるようになったからです。

 

従業員が満足できるかどうかは

「期待値と実態の乖離」

によって決まります。

なぜ、「激務」と言われる外資系のプロフェッショナルファームでは、従業員の満足度が高くなるのかというと、明確に「期待値」をコントロールしているからです。

彼らは初めから、厳しい環境であることを認識しながら入社します。

そのため、入社後のギャップがないのです。

反対に、ホワイト企業を謳い、人を大事にすると言いながら、実際は過酷な労働を強いたりする企業は、従業員の満足度は下がります。

なぜなら、入社後に裏切られたと思うからです。

言うなれば、本質的な変化とは「仕事に求める要素は大枠では変わっていませんが、その中で重要度が前後してきている」ということです。

 

これが「職場の空気」が見えるようになったことで実現した、オープネス革命の本質なのです‼

 

以上が、第4章のまとめです。

 

少し長くなってしまいました(-_-;)

この章は、自分の会社がどの状態になっているかを、経営側、雇用側のどちらの視点からも読めると思ったので、読んで頂ければと思います<(_ _)>

 

皆様の勤めている会社は、今、どのような状況でしょうか(?_?)

現在、終身雇用を守ることが難しい。そのメリットがない。などと言われています。

この書籍を読んで、会社や自分自身を見つめなおしてみてはいかがでしょうか?

 

ではまた(@^^)/~~~

 

 

 

OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める

OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める

  • 作者:北野 唯我
  • 発売日: 2019/11/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)